接骨院の年収はいくら?勤務・開業の収入比較と年収アップの方法を解説

「柔道整復師として、どれくらいの年収が得られるのか?」ー開業済みの方にとっても重要な関心事でしょう。実際には、勤務・業務委託・開業といった雇用形態によって収入には大きな差があり、さらにキャリアやスキル、経営力によっても将来的な収入は大きく変わってきます。この記事では、柔道整復師・接骨院の平均年収や他職種との比較、開業後の年収モデル、そして年収アップに必要なスキルや施策までを幅広く解説します。

柔道整復師・接骨院の年収相場とは

「柔道整復師としての収入はどれくらいが一般的なのか?」という疑問は、今後のキャリア設計スタッフの採用・待遇設計にも直結します。ここでは、柔道整復師の平均年収、雇用形態別の違い、そして他職種との比較まで、最新データと現場感を交えてわかりやすく解説します。

柔道整復師の平均年収はどれくらい?

柔道整復師全体の平均年収は、約350万円〜450万円が目安とされています。ただしこの数字は、「勤務柔整師」を含めた平均値であり、実際には勤務先の規模や地域、実務経験、役職の有無などによって大きなばらつきがあります。

キャリア平均年収目安
新人(1〜3年目)約250万円〜300万円
中堅(4〜10年目)約350万円〜450万円
院長クラス・管理職約500万円〜700万円以上

独立開業した柔道整復師は、年収1000万円を超えるケースもありますが、その反面、集客や経営力に課題があると収入が不安定になることも。収益を安定化させるためには、保険外サービスの導入やスタッフ教育、地域ニーズの把握など、経営スキルも求められます。

(出典: 株式会社リハサク)

勤務・雇用形態別の収入の違い

柔道整復師の年収は、「雇われているか」「業務委託か」「自費運営か」などの雇用形態でも大きく変わります。経営層を目指すなら、単なる技術職としてのスキル以上に、マーケティング・人材マネジメント・資金管理といった分野への理解も不可欠です。

雇用形態特徴年収目安
正社員(勤務柔整師)社会保険・福利厚生あり。安定性は高いが給与はやや低め。約300万〜400万円
アルバイト・パート時給制。副業や短時間勤務に適する。時給1,200円前後〜
業務委託歩合制が多く、売上に応じて報酬が変動する。300万〜600万円以上も
院長・経営者自由度が高く利益も大きいが、リスクと責任も大きい。500万円〜1,000万円超

理学療法士など他職種との比較

柔道整復師の収入は、他のリハビリ・医療系職種と比べてどうなのでしょうか?以下に代表的な職種の年収を比較してみましょう。接骨院経営者としての視点で見れば、「自費移行・複数資格スタッフの採用・他職種連携」によって、単価と提供価値を同時に高める工夫が必要です。

職種平均年収(目安)特徴
柔道整復師350万〜450万円開業できる点が強み。保険制度に左右されやすい。
理学療法士(PT)400万〜500万円医療機関での安定勤務が多い。
作業療法士(OT)400万〜480万円病院・介護施設が主な就職先。
あん摩マッサージ師320万〜400万円自由度は高いが収入はやや控えめ。

開業・独立した場合の年収はどのくらい?

接骨院の開業を考える上で、気になるのが「実際にどれくらいの収入が得られるのか」という点です。独立した場合、収入面では上昇の可能性がある一方で、経営リスクも伴います。ここでは、開業後の平均年収や収益構造、年収1,000万円の可能性、そしてリスクとメリットを整理して解説します。

開業後の平均年収と収益モデル

接骨院を開業した場合の年収は、立地や集客力、経営戦略によって大きく変動しますが、平均年収は500万〜800万円前後とされています。うまく軌道に乗れば、勤務時代よりも高収入が見込めるでしょう。これはあくまで一例であり、保険施術と自費施術のバランス、回数券や物販の導入、他業態(リラク・トレーニング)との複合化によって収益はさらに伸ばすことが可能です。

【収益モデルの一例】

項目月あたりの目安
1日来院数25人
月営業日数25日
平均単価2,500円
月収約156万円
人件費・家賃など経費約80万円
月粗利益約76万円
年収想定約900万円前後

(出典: ジャパン柔道整復師会

年収1000万円は実現可能か?

結論から言うと、戦略次第で年収1,000万円以上は十分に実現可能です。ただし、単純に「開業=高収入」というわけではなく、以下のような経営努力が求められます。成功している院では、施術+物販+トレーニング指導+リラクゼーションなどの複合型収益モデルを構築しており、月収200万円以上を安定的に出しているケースもあります。

年収1,000万円を目指すためのポイント

  • 自費メニューの導入と単価アップ
  • リピート率・来院頻度の最適化
  • GoogleビジネスプロフィールやSNSを活用した集客
  • スタッフの教育と業務効率化
  • 地域密着型のブランディング

開業のリスクとメリット

特に開業初期は「集客・人件費・広告費」のコントロールが難しく、収支が不安定になりがちです。そのため、経営スキルと柔道整復師としての技術力の両輪で運営する意識が求められます。

メリット

  • 自由な経営ができる(施術内容・営業時間・価格設定など)
  • 収入の上限が広がる
  • 地域の患者さんと深く関われる
  • 経営者としてのやりがいがある

リスク

  • 初期費用・ランニングコストの負担
  • 集客が軌道に乗るまでの経営不安
  • 全ての責任が自己にある(法務・会計・労務なども含む)
  • ケガや病気による収入減リスク

年収をアップさせるために必要な準備とスキル

接骨院を経営していくうえで、年収を安定的に伸ばすには、単に開業するだけでなく「準備」と「スキルアップ」が欠かせません。開業してすぐ黒字になる院はごくわずかと言えるでしょう。事前準備や経営スキルを高めておくことが、年収アップの近道になります。ここでは、年収を高めたいと考える柔道整復師が知っておくべき、実践的な準備とスキルについて解説します。

開業前にやっておくべきこと

開業前の準備段階で年収アップの土台は決まります。以下のようなポイントを押さえておくことが重要です。これらをしっかり整えておけば、開業後の集客・収益化スピードに大きな差が出ます。

  • 立地のリサーチと競合分析
    人通り、駐車場の有無、周辺人口、競合院の有無などを分析し、来院が見込める立地を選びましょう。
  • ターゲット層の明確化
    高齢者中心か、スポーツ選手・部活動生を対象とするかなど、ターゲットを明確にすることで施術内容や打ち出し方が定まりやすくなります。
  • 事業計画と数値目標の策定
    初年度の売上・利益目標、月間来院数、客単価、回転率などのシミュレーションを具体的に行っておくと、ブレない経営が可能になります。
  • 広告戦略の事前設計
    開業時からしっかり集客できるよう、ホームページ・SNS・チラシなどを早めに準備しておくことも重要です。

売上アップに直結するスキルとは

売上を伸ばすためには、施術スキルだけでなく経営者としての視点と知識も必要です。以下のようなスキルが、年収アップに直結します。これらのスキルを体系的に学ぶことで、他院と差別化できる強みとなり、結果的に年収アップへとつながります。

  • マーケティングスキル
    Web集客(ホームページ・Googleビジネスプロフィール・SNS)、口コミ対策、広告運用の基本を理解し、集客の流れを自力で構築できる力を身につけましょう。
  • 接客・カウンセリングスキル
    患者さんとの信頼関係を築き、安心感を与えることでリピート率や紹介率が高まります。ヒアリングや説明力も重要です。
  • 経営数値の把握力
    売上・粗利・経費・利益といった数値を日々意識し、どこにコストをかけ、どこを削るべきかを判断する力。
  • スタッフマネジメントスキル(複数店舗を目指す場合)
    将来的に複数院を経営することを視野に入れるなら、採用・育成・マネジメントスキルも大きな武器になります。

再診率・リピート率を高める工夫

新規患者さんの集客だけでなく、既存患者さんの再診率・リピート率を上げることが、安定した売上と年収に直結するでしょう。再診率が高まれば広告費の削減にもつながり、利益率の高い経営が可能になります。

具体的には以下のような工夫が効果的です:

  • 初診時の丁寧なカウンセリング
    患者さんが不安に感じていることをしっかり聞き取り、「この人なら任せたい」と思ってもらう第一印象が重要です。
  • 通院スケジュールの提案力
    次回来院のタイミングや通院回数の目安を明確に説明することで、自然なリピートにつながるかもしれません。
  • ビフォーアフターの体感提示
    施術の効果を“見える化”することで、患者さんが「通う理由」を実感できます。姿勢写真や柔軟性テストなども有効でしょう。
  • LINEやSMSを活用したリマインド・アフターフォロー
    通院忘れの防止や「その後の様子はいかがですか?」といった気遣いが、信頼と再来院につながります。
  • 清潔感のある院内とスタッフ対応
    院の雰囲気やスタッフの応対も、患者さんが「また来たい」と思える大きな要素です。

年収アップに効果的な施策・仕組みづくり

接骨院を経営するうえで、年収を安定的に伸ばしていくためには、単に施術数を増やすだけでは不十分です。集客・リピートの仕組み化、ITの導入による効率化、自費メニューや物販による収益の多角化など、複数の視点から改善を図ることがカギとなります。

集客とリピートを生むマーケティング戦略

新規患者さんの獲得と既存患者さんのリピート率を高めるには、計画的なマーケティングが欠かせません。接骨院業界でも「マーケティングは苦手」という声は多いですが、ターゲットに合わせた導線づくりと継続的な施策こそが、年収アップの土台になります。

具体的な施策例:

  • SNSやLINE公式アカウントの活用:空き状況の告知やキャンペーン告知で来院のきっかけを増やす
  • 口コミを意識したサービス提供:丁寧な接遇、院内の清潔感、説明のわかりやすさなど“通いたくなる理由”を徹底する
  • リピート導線の設計:初回施術後のフォローLINE・再来院の特典設計・次回予約の声かけをルール化する

予約システムやIT導入のメリット

業務効率を上げることで、時間的・人的コストを削減し、その分を「売上の高い業務」へ振り分けられるようになります。また、こうしたシステムは補助金の対象になることもあるため、IT導入=コストではなく「投資」として考えることが重要です。

導入メリット:

  • 予約の自動化:電話対応の時間削減+予約ミス防止により、受付業務を軽減
  • 顧客管理の一元化:通院履歴や症状の記録をデジタル化することで、リピート促進の声かけがしやすくなる
  • 施術外の売上アップにつながる:キャンペーン通知・自費施術の提案などを自動通知機能で効率化できる

自費施術・物販などの収益多角化

保険施術に依存していると、収入はどうしても頭打ちになりやすいです。そのため、自費施術物販といった“プラスαの柱”を育てていくことが、年収アップに直結するでしょう。自費や物販は「売り込む」のではなく、「患者さんに合うものを提案する」というスタンスで取り入れると、信頼関係を壊さず売上を伸ばすことができるかもしれません。

おすすめの自費メニュー例:

  • 骨盤矯正や整体、筋膜リリースなどの自費施術コース
  • 産後ケアやスポーツ整体など、ニッチニーズに応えるパッケージ
  • カウンセリングやトレーニング指導など、知識提供型のサービス

物販の例:

  • 姿勢矯正ベルト、インソール、ストレッチポールなどのヘルスケア商品
  • 院内で扱うサプリメントや健康食品(信頼性あるメーカーを選定)

まとめ|接骨院で年収を上げるためのポイント

接骨院経営で安定した年収を得るためには、単に来院数を増やすだけでなく、「自分のビジョンに合った戦略」を持つことが不可欠です。ここでは、年収アップを目指すうえで意識すべき3つの柱と、実践への第一歩を紹介します。

現状把握・キャリア設計・収益戦略の3本柱

  1. 現状把握
    まずは、現時点での売上・経費・集客数・リピート率などの数値を整理しましょう。「なぜ今の収入になっているのか」が見えることで、改善点が明確になります。
  2. キャリア設計
    「今後どう働きたいか」「どんな院にしたいか」といったキャリアのビジョンを描くことで、経営方針や導入するサービスの方向性も定まります。
  3. 収益戦略の構築
    保険施術だけに依存せず、自費メニューや物販、施術以外の収益源も視野に入れましょう。売上の柱が複数あれば、経営の安定性がぐっと増します。

情報収集と準備が成功の鍵

年収を上げるためには、業界トレンドや他院の成功事例などを積極的にリサーチすることが大切です。セミナー参加や専門誌の購読、地域密着型の施策事例なども、アイデアの宝庫になります。

また、実際の改善にはスタッフ教育やツール導入(LINE予約、顧客管理など)の準備が不可欠です。いきなり大きな改革を目指すのではなく、「月に◯件だけ自費に切り替える」など、できる範囲から少しずつ前進するのがポイントです。

まずは自分の強みと働き方を見直そう

他院と差別化を図り、リピーターや紹介を増やしていくには、「自院にしかできないこと」を明確にすることが最重要です。

  • スポーツ外傷の知識に強い
  • 柔道整復師+αの資格を活かせる
  • 患者さんとの距離感や接遇に自信がある
  • 地域密着で高齢者への対応が得意

こうした強みと働き方のスタイルを整理することで、無理なく年収を上げていける方向性が見えてきます。

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