「接骨院を開業したら、どれくらい稼げるのだろうか?」そんな疑問をお持ちの方に向けて、この記事では柔道整復師の年収の実態から、開業後のリアルな収益モデル、年収1,000万円を目指すための戦略まで、現場の最新事情を徹底解説します!
目次
接骨院を開業すると年収はいくら?
接骨院の開業後に得られる年収は、地域や施術メニュー、集客力、経営方針によって大きく異なりますが、ここでは平均的なモデルケースをもとに、収益の目安や黒字化の時期、月商・経費・手取りなどの目安をご紹介します。
開業後1〜3年の収益モデル
開業初期は、赤字または収支がほぼ同じになるのが一般的です。以下に、よくある収益モデルの一例をご紹介します。※場所やスタッフ数、施術単価などで上下します。
開業年数 | 月商の目安 | 年商の目安 | 状況 |
1年目 | 40〜80万円 | 500〜1,000万円 | 集客基盤を作る期間。広告費や設備投資がかさむことも |
2年目 | 80〜120万円 | 1,000〜1,500万円 | リピーターや紹介が増え、安定し始める |
3年目 | 120〜180万円 | 1,500〜2,000万円 | 地域密着型での黒字化・拡大フェーズに |
黒字化のタイミングと現実的な目標
黒字化の目安は2年目以降 が一般的です。以下のような目標設計が現実的でしょう。
- 1年目: 経費を抑えつつ集客を優先し、損益分岐点を把握することが重要です。
- 月商70万円以上が黒字の目安となります(家賃・人件費・広告費によって異なります)。
- 2年目:リピート率の向上と経費の見直しによって黒字化を目指します。
- LINE予約、口コミ、保険施術のバランス調整がポイントです。
- 3年目:自費施術の比率を高め、利益率の向上を図ります。
- 美容施術や産後ケアなどのオプションメニューを導入し、収益を強化します。
月商・経費・手取りの目安
例として月商120万円のケースを見てみましょう。※個人事業主の場合、税引き後は約7〜8割が可処分所得になります。
項目 | 金額 | 備考 |
---|---|---|
月商 | 1,200,000円 | 保険6割・自費4割のバランス |
経費合計 | 約800,000円 | 家賃・広告費・人件費など |
手取り(営業利益) | 約400,000円 | 税金や借入返済を差し引く前 |
年収換算 | 約480万円 | ここから税引き後が実質手取りになります |
年収1,000万円は現実的?開業で成功するための考え方
年収1,000万円は「夢の話」ではなく、正しい戦略をもって運営すれば実現可能と言えるでしょう。とはいえ、がむしゃらに頑張るだけでは目標とする年収に届かないかもしれません。ここでは、高収益を実現するための共通点やシミュレーション、リスクを抑える成長戦略をご紹介します。
高収益院の共通点とは?
- 1日の来院数と回転率が安定している
- 自費メニューを導入し、単価を高めている
- 地域ニーズに合った独自の強み(スポーツ整体、産後ケアなど)を打ち出している
- スタッフ育成と業務の分業化で「院長の稼働」を抑えている
- リピート率が高く、患者さんの満足度の高い運営を徹底している
1,000万円の内訳シミュレーション
【注意点】
- 保険施術のみでは限界があるため、自費施術を組み込んだ収益設計がカギとなります。
- 経費のコントロールが利益に直結するため、広告や人材への投資は戦略的に行う必要があるでしょう。
シミュレーション内容
- 月間売上:約200万円(年間2,400万円)
- 経費:約80万円/月(人件費・家賃・広告費など含む)
- 営業利益:約120万円/月
- 年間利益:約1,440万円
- 税引き後:年収 約1,000万円前後に到達可能
リスクを抑えた戦略的な成長方法
- 開業初期は「小さく始める」
- 家賃や人件費を抑えることで、低リスクでスタートできます。
- 開業当初は、院長一人での運営も視野に入れておくと良いでしょう。
- 地域に合ったターゲットを明確化
- 例:子育て世代が多い地域であれば、「産後の骨盤矯正」などを積極的にPRしましょう。
- ペルソナを明確に設定することで、広告や集客の効率が大きく向上します。
- 再来率アップの仕組み作り
- 回数券、LINEによるフォロー、次回予約制度などを活用しましょう。
- 「また来たい」と思わせる仕組みが、安定した収益を支える土台になります。
- 売上の柱を分散させる
- 保険施術・自費施術・物販(インソールやサポーターなど)を組み合わせて収益源を複数持つと良いかもしれません。
- 自費施術がうまくいくと、単価が上がり、口コミによる新規来院も期待できます。
年収を上げるために必要な3つのコツ
接骨院の経営において、ただ「長時間働く」だけでは年収アップにはつながりません。経営者として視点を変え、「売上構造の最適化」「収益性の高いサービスの活用」「リピート・紹介率の向上」の3点に着目することが鍵となります。以下では、接骨院経営者が年収を上げるために必要な3つのコツを解説します。
客数・単価・頻度の売上構造を理解する
売上は「客数 × 単価 × 来院頻度」の掛け算で成り立っています。この構造を理解することが、現状の課題を見つけ、改善策を立てる第一歩です。このように、数字を「感覚」ではなく「構造」で捉えることで、改善すべきポイントが明確になります。
- 客数が伸び悩んでいる場合は、Web集客の強化や口コミ対策に力を入れる必要があるでしょう。
- 単価が低い場合は、自費メニューの導入や価格設定の見直しを検討する価値があります。
- 来院頻度が少ない場合は、施術計画の提示や生活指導を通じて、通院の必要性をしっかりと伝えることが重要です。
自費施術と交通事故対応を活かす
年収アップを目指すためには、「保険施術だけに依存しない収益モデル」の構築が欠かせません。その実現には、自費メニューの魅力をしっかり伝えるためのPOPの作成や説明資料の整備、交通事故対応に特化した相談体制の構築などが必要です。
- 自費施術(骨盤矯正・美容整体など)は利益率が高く、売上の柱になるでしょう。
- 交通事故対応は、施術単価も高く、患者さんの通院頻度も安定しやすいジャンルです。
リピート・紹介を生む接客とカウンセリング
一時的な売上ではなく、継続して通ってもらえる関係性を築くことが、年収アップには欠かせません。患者さん一人ひとりと信頼関係を築く姿勢が、リピートと紹介を生み出し、結果として年収アップに直結するでしょう。
- 初回カウンセリングで「なぜ来院したのか」「どうなりたいのか」を丁寧に聞く。
- 施術後には「今日の内容」「次回の施術の意図」をしっかり伝える。
- LINEなどを使って、アフターフォローや予約促進を行う。
開業前に知っておきたい経費・集客・設備の話
初期費用と運転資金の内訳
接骨院を開業するには、「初期費用」と「運転資金」の2種類の資金が必要です。それぞれの費用の目安や内訳を事前に把握しておくことで、資金計画にゆとりが生まれます。開業初期は黒字化まで時間がかかるため、運転資金を厚めに確保しておくことが成功への第一歩です。融資を受ける場合は、これらをきちんと区分した事業計画書が有効です。
初期費用(目安:500〜1,000万円)
- 物件取得費(敷金・礼金・仲介手数料など)
- 内装・外装の施工費
- 施術機器・家具などの購入費
- 登記・行政手続き関連費用
運転資金(目安:月額30〜80万円 × 3〜6ヶ月)
- 家賃
- スタッフの人件費
- 光熱費・通信費
- 広告宣伝費
- 消耗品や材料費
集客の基礎(立地・広告・SNS・口コミ)
接骨院の経営においては、「どのように集客するか」が、そのまま経営の継続性に直結します。 開業前から戦略的に動いておくことで、スムーズなスタートダッシュを切ることが可能でしょう。また、地域密着型のビジネスでは、「信頼できる先生がいる」と思ってもらえるような導線づくりが非常に重要です。
立地の選び方
- 人通りが多く、ターゲット層(高齢者、学生、会社員など)が通る場所
- 近隣の競合院との距離
- 駐車場の有無
- 徒歩・自転車圏の生活エリア内
広告・SNSの活用
- チラシやポスティングで地域認知を高める
- 開業前からInstagram・LINE公式で情報発信
- Googleビジネスプロフィールへの登録と口コミ誘導
- 院長の顔を見せて“信頼”を築く
口コミ施策
- プレオープンで無料または割引体験を実施
- 来院した患者さんに口コミ投稿をお願いしやすい仕組みづくり
- 「紹介カード」など紹介制度の導入
必要な設備・機器とその選び方
施術内容の質や患者さんの満足度は、導入する設備・機器に大きく左右されると言えるでしょう。費用とパフォーマンスのバランスを見ながら、最適な選定を行いましょう。 「何を導入すべきか」を決める際は、施術内容・ターゲット層・想定する患者さんのボリュームを基に見極めましょう。開業支援業者や同業者の声も参考になるかもしれません。
必要な設備・備品
- 施術ベッド(リクライニング型、電動型など)
- 電気施術器(干渉波、低周波、超音波など)
- ホットパック・冷却装置
- 待合室用の椅子・テーブル
- カルテ管理システム、レジ・会計設備
選び方のポイント
- 新品 or 中古:新品は保証が付いており安心ですが、高額になる傾向があります。一方、中古品はコストを抑えられますが、購入前にしっかりと点検することが重要です。
- 購入 or リース:資金に余裕がない場合は、初期負担を軽減できるリースの利用も検討しましょう。
- サポート体制:故障時の対応スピードやアフターサービスの有無も、導入時の重要な判断基準です。
- メンテナンス性:毎日使用する機器だからこそ、掃除や保守のしやすさにも配慮が必要です。
成功する接骨院の共通点とは?
ターゲット戦略と差別化の工夫
成功する接骨院は、「誰に」「どんな悩みを解決するのか」が明確です。たとえば以下のようなターゲット設定がされています。
- 産後のママ向けに骨盤矯正に特化
- 学生アスリート向けのスポーツ外傷専門
- デスクワークの肩こり・腰痛ケア中心
このようにペルソナを明確化することで、広告・WEB・接客方針に一貫性が生まれ、効果的な集客につながります。また、同業との差別化も重要です。技術だけでなく、下記のような工夫で「ここなら通いたい」と感じてもらうことがポイントです。
- 院内のデザインやBGMをターゲット層に合わせる
- お子様連れ歓迎の環境(キッズスペース、ベビーベッド設置)
- 口コミでの安心感づくり(スタッフ紹介や通院事例の公開など)
「〇〇な人にはこの院がいい」と思われるブランディングができている院が、長期的な成功を収めている傾向があります。
継続率を高める仕組みづくり
「初回だけで終わる」状態から脱却し、継続して来院してもらうには仕組み化が不可欠です。成功している接骨院では、以下のような仕組みを整えています。
継続率UPのための3つの工夫
- カウンセリング力の強化
初回にしっかりとヒアリングを行い、「通う理由」「改善の目安」を共有する。 - 通院計画の見える化
通院の目的と頻度を説明する「プランシート」や「経過記録」を使って、患者さんに納得感を持ってもらう。 - 再来院を促すフォロー体制
LINEなどを活用した施術後フォローや予約リマインドで自然な再来を促す。
さらに、ポイントカード・紹介特典・メンテナンス会員制度なども継続率の向上に有効です。
デジタル活用(Googleビジネス・LINE・HPなど)
成功する接骨院は、ネット上での“第一印象”を非常に重視しています。とくに次の3点が重要です。SNS活用や、MEO・SEO対策を含めて、「検索→閲覧→来院」までの導線を整えているかが成否を分けます。
- Googleビジネスプロフィール
- 地域検索で上位表示を狙うためには、情報の整備と口コミ対策が重要です。
- 外観・内観・施術風景など、実際の写真を豊富に掲載し、「ここなら行きやすそう」と感じてもらえる工夫が求められます。
- LINE公式アカウント
- リマインド通知やクーポンの配信、キャンセルの防止など、リピーターの獲得に効果的です。
- カルテや予約システムと連携すれば、業務の効率化にもつながります。
- ホームページ(HP)
- スマートフォン対応は必須条件です。アクセス方法、施術の流れ、スタッフ紹介、お客様の声などをわかりやすく掲載しましょう。
- さらに、国家資格の有無や衛生管理など「他院との差別化につながる」「安心できるポイント」をしっかりとアピールすることが大切です。
まとめ|あなたに合った年収アップの道を考えよう
開業を目指す場合は、ターゲット戦略・経営計画・継続率向上の仕組みづくりが成功のカギとなります。さらに、GoogleビジネスプロフィールやLINE公式アカウント、ホームページなどを活用したデジタル施策も、“選ばれる接骨院”には欠かせません。理想的な働き方と収入のバランスを見つけ、それを実現するために戦略的な準備を重ねていくことが、長く成功を続けるための第一歩と言えるでしょう。
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