国家資格を活かして働ける柔道整復師は、接骨院をはじめ、スポーツ現場や介護施設など幅広いフィールドで活躍できる専門職です。しかし「年収は実際どれくらい?」「開業したら儲かるの?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。この記事では、勤務柔道整復師と開業柔道整復師の年収モデル、地域・業態ごとの収入差、キャリアパスなどを、リアルなデータをもとに徹底解説します。
目次
【勤務・開業別】柔道整復師の平均年収は?
柔道整復師は国家資格を活かし、接骨院や整骨院、介護施設、スポーツ現場など幅広い分野で活躍できる専門職です。 とはいえ、「実際、年収はどれくらい?」「勤務と開業ではどう違うの?」という疑問を持つ方も多いはず。この記事では、勤務柔道整復師と開業柔道整復師の年収モデルをはじめ、地域・業態ごとの収入差やキャリアパスまで、リアルなデータをもとに徹底解説します。
勤務柔道整復師の年収相場とキャリアパス
厚生労働省や求人データによると、勤務柔道整復師の平均年収は約300万〜400万円が相場とされています。ただし、経験年数や勤務先の業態によって大きく変動するため、以下のような段階でキャリアを考えるのが一般的です。
年収目安(勤務先別)
勤務年数 | 年収の目安 | コメント |
新卒〜3年目 | 250〜300万円 | 固定給+歩合がある院も。研修重視 |
3〜5年目 | 300〜400万円 | 施術責任者、分院長候補に昇格するケースも |
6年目〜 | 400〜600万円以上 | 管理職・エリアマネージャーで年収UP |
開業柔道整復師の売上・年収モデル
開業した場合、年収は「売上−経費」で大きく左右されます。自分次第で年収1,000万円以上を目指すこともできますが、同時にリスクや経営スキルも求められます。「稼ぐ力」だけでなく、「経営の安定力」も必要となるでしょう。
一般的な収入モデル
開業年数 | 年間売上 | 経費 | 想定年収 |
1年目 | 500万〜800万円 | 400万〜600万円 | 100万〜200万円 |
3年目 | 1,000万〜1,500万円 | 600万〜1,000万円 | 400万〜600万円 |
成功例 | 2,000万〜3,000万円 | 1,200万〜2,000万円 | 800万〜1,000万円以上 |
開業に影響する要素
- 立地・ターゲット層(駅前・住宅地など)
- 保険施術と自費施術のバランス
- スタッフ数と人件費
- SNS集客・口コミ対策の有無
エリア・規模・職種による収入差とは?
柔道整復師の年収には、地域や勤務形態による差も大きく関係します。
エリア別の年収差
- 都市部(東京・大阪・名古屋など)
→ 求人は多いが競争率が高く、収益化には工夫が必要。家賃も高め。 - 地方都市(福岡・札幌・仙台など)
→ 地域密着型でリピーター獲得しやすいが、単価はやや低め。 - 郊外・過疎地
→ 医療資源が少なく、ニーズは高い。高齢者中心。行政との連携が鍵となる傾向があります。
職種・勤務形態の違い
職種 | 平均年収 | 備考 |
接骨院勤務 | 約300万〜400万円 | 保険施術中心。経験で歩合あり。 |
整形外科クリニック勤務 | 約350万〜450万円 | 医師指導下での施術。安定性高め。 |
スポーツトレーナー | 約200万〜350万円 | 雇用形態が不安定な場合も多い。 |
デイサービス・介護施設 | 約280万〜380万円 | 機能訓練指導員として需要あり。 |
開業柔道整復師 | 〜1,000万円以上 | リスクも高いが収入の上限なし。 |
接骨院は本当に儲かる?仕組みを解説
接骨院の開業を考えている方や、業界の将来性に興味を持っている方にとって、「接骨院は儲かるのか?」というのは非常に気になるポイントです。実際には、収益の仕組みを正しく理解し、戦略的に運営することで安定した収益を得ることが可能です。ここでは、接骨院の収益構造と売上のポイントについて解説します。
収益構造(客数×単価×頻度)の基本
接骨院の収益は、基本的に「客数 × 単価 × 来院頻度」の掛け算で決まります。これは業界問わず、サービス業の基本構造でもあります。
- 客数:どれだけの患者さんが来てくれるか
- 単価:1回あたりの施術でどれだけの収益が出るか(保険施術 or 自費施術)
- 頻度:1人の患者さんが月に何回来てくれるか(継続率)
例えば、1日20人、1回の単価が2,000円、1人あたり月4回の来院があれば
→ 月収益:20人 × 2,000円 × 4回 × 約22営業日 = 352万円/月
このように、どの数字をどう上げていくかが、売上アップのカギになります。
保険施術と自費施術の売上比率
接骨院の売上構成は「保険施術:自費施術=7:3〜5:5」が一般的とされています。 保険施術は収益の安定性がある反面、報酬単価が低く、制限も多いため、自費メニューの導入が年々重要になってきています。
- 保険施術の特徴
- 国家資格保有者による施術で、急性疾患が対象。低単価・高回転型。
- 自費施術の特徴
- 慢性疾患や美容系・姿勢矯正など、自由度の高いサービスで単価アップが可能。
特に最近では、保険施術に依存しない「自費比率5割超え」の院も増えており、安定した経営のためにこのバランスを見直す院が増えています。
繁盛院が実践している売上の仕組み
儲かっている接骨院には、いくつかの共通点があります。単に施術の腕がいいだけではなく、仕組みとして売上が伸びやすい運営をしています。
代表的なポイントは以下の通りです:
- 予約管理によるリピート率の最大化
→ LINE予約・次回予約を活用し「自然と自院に通う流れ」を作っています - スタッフ育成とオペレーションの標準化
→ どのスタッフでも同じ接遇・対応ができることで満足度アップ - エリア戦略と看板・SNS発信の最適化
→ 近隣住民にしっかりリーチできているかが新規の患者さんの獲得に直結する傾向があります
これらを体系的に取り入れることで、「安定して月商300万円〜500万円以上」の接骨院を実現することも夢ではありません。
なぜ「儲からない」と言われるのか?3つの理由
接骨院は地域密着で信頼を積み重ねるビジネスである一方、「儲からない」「続けるのが大変」といった声も少なくありません。ではなぜそう言われるのでしょうか?ここでは主な3つの理由を見ていきましょう。
保険依存による収益の限界
多くの接骨院が保険施術を中心とした収益モデルを採用していますが、これにはいくつかの課題があります。その結果、「働いても働いても利益が残らない」という構造に陥りやすくなります。これが「儲からない」と感じる大きな原因のひとつです。
- 施術単価が安く設定されているため、高回転が求められる
- 療養費の審査が厳格化しており、請求トラブルや返戻リスクが増加
- 自費施術との差別化ができていないと価格競争に巻き込まれる
集客不足と立地・競合の壁
接骨院は、地域に複数存在することが多く、立地や周囲の競合の影響を大きく受けます。特に新規開業の場合、「集客の壁」は想像以上に大きく、経営を続ける上で大きなハードルとなります。
- 目立たない立地では認知が進まず、新規の患者さんの来院が見込みにくい。
- 駅近などの好立地は競合が多く差別化が難しい。
- Web集客やSNS運用のノウハウが不足しており、リピーターや紹介による来院の獲得が不十分である。
経営知識・マネジメント力の不足
柔道整復師としての技術は優れていても、「経営者」としてのスキルはまた別の話です。結果として、「なんとなく続けているが利益が出ない」「スタッフが定着しない」といった問題に繋がります。経営は“感覚”ではなく“データと戦略”が必要です。
- 損益分岐点の把握や財務管理が不十分である。
- 人材育成やスタッフの管理に課題を抱えるケースも多い。
- マーケティングや価格設計に対する理解が浅い。
開業前に知っておきたい経費・集客・リスク対策
開業に必要な初期費用とランニングコスト
初期費用の内訳
- 物件取得費(敷金・礼金、保証金など)
- 内装・設備工事費(ベッドや待合室など)
- 施術機器の購入費
- 登記・保健所・届出にかかる諸費用
- ホームページ制作費、チラシ印刷代など(マーケティング初期投資)
ランニングコスト(月次)
- 家賃
- 人件費(受付やスタッフ)
- 電気・水道・通信費
- 施術用消耗品・タオルなどの備品費
- 広告費(Google広告、チラシ配布、SNS運用)
- 保険や会計ソフト利用料
コストを抑えるコツ
- 中古機器の活用
- 内装はシンプル&機能性重視に
- 初期は広告をSNS中心にすることで費用を抑える
集客戦略の基本とやってはいけないこと
開業時の集客戦略の基本
- 地域密着型の広告(ポスティング、地域情報誌など)
- 口コミ施策(来院時アンケートや紹介カードの配布)
- ホームページとGoogleビジネスプロフィールの整備
- SNS発信(Instagramで院内の雰囲気やスタッフ紹介)
- 初回限定キャンペーンで来院ハードルを下げる
やってはいけないNG行動
- ターゲットを絞らない(万人向け=誰にも刺さらない)
- 広告費をかけすぎて回収できない
- 患者さんとの信頼関係を軽視(施術だけで満足は難しい)
- 口コミを自作自演(Googleの評価が下がる恐れあり)
- ホームページがスマホ対応していない
失敗しやすい開業リスクとその回避法
よくある失敗リスク
- 資金繰りの悪化(売上が出る前に資金が尽きる)
- 思ったより集客がうまくいかない
- ターゲット設定が甘くてコンセプトが曖昧
- 競合との差別化ができていない
- 一人で全て抱えてオーバーワークになる
リスクの回避策
- 事業計画を綿密に立てて、融資を余裕をもって借りる
- 開業前から集客準備を開始(LINE登録、予約受付など)
- ターゲット明確化+専門性を打ち出す(スポーツ障害、産後ケアなど)
- 競合分析+自院の強み発見
- 外注やアルバイトを活用してオペレーションを整える
高収益を目指すための開業準備と戦略
高収益な接骨院を目指すには、開業時点でしっかりと戦略を立てておくことが不可欠です。ただ「開業する」だけでなく、「地域で選ばれる」「リピートされる」「紹介される」存在を目指すために、以下のポイントを押さえましょう。
ビジネスモデルと立地選びの重要性
- ターゲットに合ったビジネスモデルを構築する
- 自費施術を強化するのか、保険施術をメインにするのかで集客方法も導線も変わります。例えば、自費メニューを充実させる場合、Web集客や口コミ重視の設計が重要です。
- 競合調査の徹底
- 地域の人口構成(高齢者が多いのか、若年層が多いのか)やライバル院の価格帯、サービス内容を調査し、自院の差別化ポイントを明確にします。
- 立地は「通いやすさ」が最優先
- 駅近、駐車場あり、バス通り沿いなど、「また来たい」と思ってもらえる通いやすさがリピート率に直結します。
開業前にやっておくべきブランディング
- 院の「強み」を明確にする
- 産後ケアに対応、夜間営業ありなど、自院の強みを一言で語れるように整理し、ロゴやホームページ、名刺などに一貫して反映させましょう。
- SNS・Web・チラシなどの媒体設計
- InstagramやLINE公式アカウントの開設、Googleビジネスプロフィールの整備、地域密着のチラシ戦略などを開業前から仕掛けることで、初動の集客に差が出ます。
- コンセプト・世界観の統一
- 内装・ロゴ・ユニフォームなどに一貫性を持たせることで、患者さんの記憶に残るブランドづくりが可能かもしれません。
まとめ|自分に合った年収アップの道を選ぼう
柔道整復師として年収を上げるためには、「開業」「スキルアップ」「働く環境の見直し」など、いくつかの道があります。しかし、もっとも大切なのは「自分に合った方法を選ぶこと」。焦らず、一歩ずつ年収アップの道を歩んでいきましょう。
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