リラクゼーションサロン開業届の手続きと注意点【必要書類・申請方法を徹底解説】

リラクゼーションサロンを開業する際、忘れてはならないのが「開業届」の提出です。 開業届は事業をスタートする上での第一歩であり、税務上の大切な手続きでもあります。しかし、「どこに提出すればいいの?」「必要な書類は何?」「個人事業主として何か注意点はある?」と、初めての方にとっては不安も多いはず。この記事では、リラクゼーションサロンの開業届に関する基本情報から、必要書類、提出方法、注意すべき税務のポイントまでを丁寧に解説します。

 

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目次

リラクゼーションサロンの開業届とは?基本情報と目的を解説

1.開業届とは?どこに・いつ提出するもの?

「開業届(正式には“個人事業の開業・廃業等届出書”)」とは、個人が事業を開始する際に、税務署へ提出する書類のことです。この届出を行うことで、税務署側も「この人は事業を始めた」と把握することができ、青色申告などの税制優遇措置を受ける前提にもなります。

  • どこに?
  • 提出先は所轄の税務署
  • いつ?
    • 原則として開業日から1ヶ月以内に提出する必要があります。
  • 費用は?
    • 開業届は無料で提出可能で、手続き自体もシンプルなため、早めの対応をおすすめします。

(出典: Money Forward)

2.接骨院と別に出すべき?事業の区分と扱い方

すでに接骨院を経営している方が、リラクゼーションサロンを新たに立ち上げる場合、「別事業としての開業届」を出す必要があるかどうかはよくある疑問です。また、接骨院は医療類似行為(国家資格)であり、リラクゼーションは無資格でも開業可能な自由業種です。この性質の違いにより、保険適用や広告表現などで混同しないように注意が必要です。

  • 同じ屋号・同一名義(個人)で行う場合でも、事業内容が異なるため、帳簿上・税務上は分けて管理することが望ましいです。
  • すでに開業届を提出済みの方でも、「事業の追加・変更」として、再提出することも可能です。

(出典: reservia)

3.個人事業主として開業する場合のポイント

リラクゼーションサロンを個人事業主として運営する場合、以下の点に留意しましょう。

  • 屋号の設定
    サロン名を「屋号」として届け出ることが可能です(例:「○○リラクゼーション」など)。開業届に記載すれば、屋号入りの銀行口座も開設しやすくなります。
  • 職業・業種の記載例
    開業届には「職業」と「業種」を記載する欄があります。たとえば、「職業:セラピスト」「業種:リラクゼーションサービス業」といった書き方が一般的です。
  • 青色申告の準備
    開業届と一緒に「青色申告承認申請書」も提出しておくことで、最大65万円の控除が受けられる可能性があります。

(出典: Money Forward)

リラクゼーションサロンの開業届の提出方法と提出先

1.開業届の提出先

リラクゼーションサロンを新しく開業する際

  • なにを?
    • 「個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)」を提出する必要があります
  • 提出先は?
    • サロンの所在地を管轄する税務署です。

すでに接骨院を経営していて、リラクゼーションサロンを独立した事業として運営する場合は?

  • 新たに開業届を提出する必要があります。
  • とくに、サロン部分が自由施術(医療外)に該当する場合は、事業の区分が異なるため注意が必要です。

(出典: STORES Magazine)

2.開業届の提出タイミングは開業から1か月以内が目安

開業届は、事業を開始した日から1か月以内に提出するのが原則とされています。「開業日」は、実際に営業を開始した日や、初めて売上が発生した日を基準とします。なお、1か月を過ぎても罰則はありませんが、青色申告を希望する場合は、開業から2か月以内の提出が必要です。これを過ぎると、青色申告の適用が翌年からになってしまうため注意が必要です。

【ポイント】
青色申告の65万円控除や赤字の繰越などの特典を受けるには、「開業届」と「青色申告承認申請書」を同時に早めに提出しましょう。

(出典: 国税庁)

(出典: freee)

3.開業届の提出方法|電子申請と窓口申請の違いとは?

窓口・郵送提出は「紙」で行う方法|控えの返送も忘れずに

紙での開業届を提出する場合、以下の2つの方法から選べます。この控えは、融資申請や口座開設などで必要になることがあるため、必ず保管しておきましょう。

【注意点】
郵送提出では控えの返送を忘れる方も多いです。控え用のコピー+返信用封筒+切手の同封をお忘れなく!

  • 税務署の窓口に直接提出
  • 郵送で提出(控え用の写しと返信用封筒・切手を同封)

(出典: freee)

電子申請は「e-Tax」を活用|手間が少なくスムーズ

最近では、電子申請(e-Tax)での開業届提出が主流になりつつあります。特に、マイナンバーカードとスマートフォンを使えば、紙を使わずに自宅で完結できます。e-Taxを使えば、開業届と同時に青色申告の申請も提出可能。時間短縮になるうえ、提出履歴もデジタルで管理できるので便利です。

【電子申請に必要なもの】

  • マイナンバーカード
  • ICカードリーダー(またはスマホの読み取り機能)
  • パソコンまたはスマートフォン

 

【こんな方におすすめ】

  • サロンの開業準備が忙しく、税務署に行く時間がない方
  • 書類管理をすっきりデジタル化したい方
  • 青色申告も同時に申請したい方

 

(出典: e-Tax)

 

リラクゼーションサロン開業時に必要な書類とそのポイント

1. 個人事業の開業・廃業等届出書(通称:開業届)

  • 提出先:所轄の税務署
  • 提出期限:開業日から1ヶ月以内

【ポイント】既に接骨院を開業している場合の対応

既存の接骨院にサロン事業を追加する場合、新たな開業届の提出が推奨されます。事業形態に応じて以下のように記載内容を調整します。また、美容系施術が保険適用外である旨を明記することで、税務処理におけるトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。

  • 一体型で運営する場合
    職業欄:柔道整復業・リラクゼーション業
    事業の概要欄:接骨院業務に加え、整体・ボディケア・フェイシャル等の施術を提供
  • 別事業として運営する場合
    職業欄:柔道整復業、美容業(リラクゼーション)
    事業の概要欄:柔道整復施術に加え、美容・リラクゼーション施術(フェイシャル、リンパマッサージ等)を提供

2. 青色申告承認申請書(任意提出)

既に接骨院で青色申告を行っている場合でも、新規事業の追加に関する帳簿上の明確な区分管理が求められます。

  • 提出先:所轄の税務署
  • 提出期限:事業開始から2ヶ月以内
  • 提出推奨タイミング:開業届と同時の提出が望ましい

【メリット】

  • 最大65万円の所得控除
  • 赤字の3年間繰越が可能
  • 家族に支払う給与も経費として処理可能

3. 接骨院とサロンを「別事業」として扱う場合の対応

以下のようなケースでは、開業届において事業を分けて記載・管理することが推奨されます。

【事業分離を検討すべきケース】

  • 保険診施術と自費施術の収支を明確に分けたい場合
  • 雇用形態が異なるスタッフをそれぞれの事業に配置する場合
  • 将来的に事業譲渡や法人化を視野に入れている場合

【開業届の記載例(事業分離型)】

  • 職業欄
    • 柔道整復業
    • 美容業(エステティック・リラクゼーション)
  • 事業の概要欄
  • 接骨院業務:柔道整復施術(保険適用)
  • サロン業務:フェイシャル、整体、リンパドレナージュ等の施術(保険外)

確実な手続きが、健全な運営の第一歩

リラクゼーションサロンの開業に際しては、既存事業との関係性や今後の運営方針に応じて、適切な書類の提出・記載が重要です。特に、税務処理のトラブルを避けるためにも事業の区分は明確にしておきましょう。

 

リラクゼーションサロンの開業届提出時に気を付けたい税務のポイント

1.保険施術と自費施術の会計分離

保険施術を扱う接骨院と、自費施術(リラクゼーション、整体など)を併設する場合、それぞれの会計を明確に分ける必要があります。これは税務調査でも特に見られるポイントで、ずさんな管理をしているとペナルティのリスクがあるので注意しましょう。

  • 売上の分離
    • 保険施術:レセプト請求による収入(非課税)
    • 自費施術:現金・キャッシュレスによる直接の売上(課税)

また、この2つは税区分が異なるため、明確に記録しておく必要があります。レジを分ける、売上帳を施術別に用意するなど、日々の記録からの工夫が重要です。

  • 経費の分離と按分
    • 家賃・光熱費・備品など、保険施術と自費施術の両方で使う共通経費は、合理的な基準で按分(あんぶん)する必要があります。説明可能な根拠を用意しておきましょう。
      • 面積比(施術スペースが何割ずつか)
      • 利用時間比(営業時間のうち何割か)

 

2.消費税の課税事業者になる基準と影響

開業当初は免税事業者(消費税の納税義務なし)でスタートできるケースがほとんどですが、売上が増えると課税事業者になるタイミングに注意が必要です。

  • 課税事業者になる条件
    • 前々年度の売上が1,000万円を超えた場合、翌々年から課税事業者になります。
    • ただし、開業1年目・2年目に急成長する場合、課税事業者選択届出書を出すことで早期に課税事業者になることも可能です。
  • 接骨院併設の落とし穴
    • 保険施術 → 消費税 非課税
    • 自費施術 → 消費税 課税対象

つまり、売上が増えたとしても、自費施術が中心でなければ消費税の対象にはならないケースもあります。逆に、自費が多い場合には課税対象売上としてしっかりと税務処理が必要になります。課税事業者になった場合、インボイス制度への対応も必要です。

(出典: 国税庁)

(出典: freee)

3.売上・経費の帳簿管理の注意点

開業届を提出し、青色申告を選択することで65万円の特別控除を受けることができます(電子申告要件あり)。 しかしそのためには、正確な帳簿管理が必須になります。

    • 帳簿管理の基本ルール
      • 毎日、売上・経費を記帳する
  • 現金・クレカ・レセプト収入を分けて記録
    • 複式簿記に対応した会計ソフトを使用(freeeや弥生会計)
  • 給与・外注費の違いに注意
    • スタッフを雇う場合、「給与」か「外注費」かの判断は慎重に行いましょう。
      • 給与:社会保険・源泉徴収が必要
      • 外注費:報酬扱いだが、実態が雇用に近いと税務署から指摘されることもあります。

(出典: 国税庁)

(出典: Money Forward)

4.税務の専門家に相談するメリット

接骨院と自費施術を併設する場合、業種特有の税務対応が必要になります。 「これってどっちの売上になるの?」「この経費ってどう処理するの?」と迷ったら、医療・介護業に詳しい税理士への相談も選択肢に入れましょう。

 

リラクゼーションサロンの開業届提出後に必要な手続きと注意点

1.保健所への届出が必要なケースとは?

基本的に、柔道整復師として接骨院を開業する場合、保健所への届出は不要とされています。しかし、以下のようなケースに該当する場合は、保健所への届出や確認が求められることがあります。保健所の判断は地域によって異なることもあるため、事前に保健所へ相談するのがベストかもしれません。

  • 保健所への届出が必要な主なケース:
    • 美容機器や高周波施術器などを使用する場合
       → 美容目的の施術機器は医療機器に該当することもあり、所轄保健所に相談が必要です。
    • 施術メニューにリラクゼーション・エステ要素がある場合
       → たとえばフェイシャルマッサージやオイルマッサージなどがある場合は、リラクゼーション施設とみなされる可能性があります。
    • 併設の施設(サロン・エステなど)がある場合
       → 接骨院とエステサロンを併設する場合は、それぞれの業態に応じた届出・管理が必要です。

2.サロンで使用する施術内容や機器に関する規制

接骨院で使用する施術機器やメニューの内容によっては、医療機器の届出や使用資格が必要な場合があります。接骨院として実施・使用可能な範囲を超えた機器の導入は、法的リスクを伴います。 安全・法令順守を優先し、導入前に必ず確認しましょう。

主な注意点:

項目内容規制の有無
骨折・脱臼の整復柔道整復師の範囲内○ 実施可能
電気施術器(低周波・干渉波など)施術用医療機器○ 資格者による使用が前提
EMS・痩身機器美容目的の使用△ 保健所への確認が推奨
美顔器・レーザー脱毛機など医療機器に該当の可能性あり× 無資格での使用は違法の可能性あり

 

3.スタッフの資格の有無による影響(マッサージ vs リラクゼーション)

施術を担当するスタッフが国家資格を保有しているかどうかによって、提供できるサービスの内容が異なります。ただし、「施術効果がある」と誤認させるような広告や表現は禁止されています。 スタッフの資格に応じて、施術内容とその表現を明確に分けることが大切です。

国家資格が必要な施術(あん摩マッサージ指圧師など)

これらは、医療類似行為に該当し、資格者のみが行うことができます。

  • 筋肉のこりや痛みを施術する目的のマッサージ
  • 骨格調整や機能改善のための施術

無資格でも可能な施術(リラクゼーション)

  • 癒し目的のボディケアやもみほぐし
  • アロマトリートメントやオイルマッサージ(施術を目的としない)

 

まとめ|接骨院経営者がリラクゼーションサロンを開業する際に押さえるべきこと

リラクゼーションサロンを開業する場合、まず必要なのが「開業届」の提出です。提出先や必要書類、事業内容の記載方法をしっかり確認し、スムーズにスタートを切りましょう。また、接骨院とは異なり、資格や保険制度に縛られない分、施術メニューや価格設定の自由度が高くなる一方で、税務や経営面では自己判断が求められます。不明点がある場合は、税理士や行政書士などの専門家に相談することで、安心して新たな事業に専念できます。しっかり準備を整えて、理想のリラクゼーションサロンを形にしていきましょう。

 

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