整骨院において「経営が厳しい」と感じる方が多い背景には、いくつかの要因があります。この記事では、なぜそのような状況になっているのか、成功するための戦略、収益の上げかた、サポート体制をご紹介します。また、現状分析の方法や必要な経営戦略、収益を向上させる方法について紹介します。
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目次
接骨院経営が厳しいと感じる理由とは?
1.保険制度の見直しと収益の低下
接骨院にとって、健康保険は収益の一部を支える重要な要素ですが、最近では保険適用の厳格化により、保険診療での収益が以前に比べ減少しています。これにより、施術内容に制限がかかりやすくなり、安定した収入が見込みにくい状態になっています。
(出典:ジャパン柔道整復師会)
2.競争の激化
・接骨院の増加
接骨院は増加傾向にあり、特に都市部では複数の接骨院が特定の地域に集中しているケースもあります。これにより、患者が分散し新規の患者を集めにくくなっています。
・他業種との競争
整体やマッサージサロン、リラクゼーション施設、フィットネスジムなど、体のケアを提供する他業種との競争も激化しています。これらの施設は自費診療を主とし、自由な価格設定ができるため、柔軟なサービスを提供しやすい点で接骨院との競争が生じています。
3.集客の難しさ
・効果的なマーケティングが難しい
集客のための広告やマーケティングに苦手意識がある接骨院も多く、ホームページやSNSを活用できていないことが原因です。結果として、新規患者の集客が難しくなり、口コミやリピーターのみの経営では安定した収入を得にくくなります。
・地域住民のニーズを掴みにくい
地域によって異なるニーズを把握できずに、ターゲット層に応じたサービス展開ができていないケースもあります。高齢者が多い地域では高齢者向け、スポーツ愛好者が多い地域ではスポーツリハビリに特化するなど、ターゲット設定が不十分だと効果的な集客が難しくなります。
4.リピーターの確保が難しい
・症状の軽減後に通院が減少
多くの患者は、症状が少しでも改善すると通院頻度が落ちる傾向があります。定期的な受診の大切さを伝えると共に、回数券や定額プランなどを導入し、リピート率の改善が重要でしょう。
・再来院を促す施策が不足
リピーターを確保するには治療効果だけでなく、信頼関係の構築や定期的なフォローが必要ですが、こうしたフォローが不足していると再来院が難しくなります。患者に合わせた治療計画の提案や、経過確認などが、リピート率の向上のために重要になるでしょう。
接骨院経営の厳しさを克服するための戦略
1. 法制度の変化に備えた収益モデルの多様化
・保険に依存しない自費メニューの拡大
保険制度の改定リスクに備え、保険診療に依存しすぎないように自費メニューの割合を増やしておきます。自費メニューが多いと保険の変更に対する影響が少なく、安定した収益が得られやすくなるかもしれません。姿勢改善やスポーツパフォーマンス向上のための施術、女性向けの美容施術など、患者のニーズに合わせたオプションを提供することが例に挙げられます。適切な料金設定と効果的なマーケティングを行うことで、リピーターを増やすことが期待できると言えるでしょう。
・保険診療と自費診療のバランス調整
患者のニーズに合わせ、保険施術をベースにしつつも、必要に応じて自費施術を提案できるように柔軟な運営を行うと、安定収益とリスク分散の両立が見込めそうです。
2.マーケティング強化で集客を安定させる
・SNSの活用や口コミなどの積極的な収集
インターネットを活用したマーケティングは、現代において非常に重要です。SNSやウェブサイト、ブログなどを活用して、接骨院の特徴や施術内容を発信し、ターゲット層にリーチすることが見込めます。また、口コミサイトやGoogleマップにおけるレビューも、集客に大きく貢献するため、積極的に患者の声を収集し、信頼度を高める取り組みを行いましょう。
3.ターゲット層を明確にしたサービス提供
・高齢者層向けのメニュー
高齢者が多い地域であれば、転倒予防や健康維持に特化したメニューを提供することで、固定客を増やすことが期待できるかもしれません。また、健康維持のための運動指導や柔軟性向上のためのリハビリメニューも有効だと思われます。
・スポーツリハビリや予防メニューの充実
若年層やアスリートが多い地域では、スポーツリハビリやパフォーマンス向上メニューを提供することで、スポーツ愛好者や学生アスリートの集客が見込める可能性があります。
4.運営効率を高めるデジタル化
・デジタル予約システムと電子カルテの導入
デジタル予約システムや電子カルテを導入し、作業の効率化を図ります。予約ミスや重複予約を防ぎ、施術時間を有効に活用することで患者の待ち時間を減らし、運営効率の向上が期待できるでしょう。
・患者との関係性の構築
来院後も患者にアフターフォローの連絡を行い、経過を気にかけることで信頼感を高めます。親身な対応が口コミにつながり、安定した集客に結びつく可能性があります。
厳しい環境で成功する接骨院経営者が実践する対策
1.コスト削減と経費管理
・経費の見直し
定期的に運営経費(家賃、光熱費、消耗品費など)を見直し、無駄な支出の削減が可能です。消耗品のまとめ買いや必要な備品の再検討などで、売上を上げなくても収益を確保しやすくなるかもしれません。
・固定費の削減と設備の最適化
スペースが広すぎる場合はテナントの移転も検討し、必要な設備や機器を見直して効率的な運営を図ります。経費を見直すことで、固定費の削減が見込めるでしょう。
2.経営スキルと知識の習得
・経営やマーケティングの学習
接骨院の専門知識だけでなく、経営、マーケティング、財務管理に関する知識も積極的に学ぶことで、経営の視点が広がり、収益性の向上や運営効率化が図りやすくなります。
・外部専門家への相談やアドバイザーの活用
税理士や経営コンサルタントに相談し、財務管理や経営改善のアドバイスを受けることで、経営全体を改善する戦略を具体化できるでしょう。
厳しい接骨院経営で収益を上げるための方法
1. 自費診療メニューの導入と高単価メニューの展開
・自費施術の積極活用
保険の制約があるため、保険外のメニュー(整体、トリガーポイント療法、スポーツマッサージなど)を充実させることが重要です。自費施術は単価が高く設定できるため、安定した収益を得やすくなるかもしれません。
・症状別・目的別プランの提供
肩こりや腰痛など、保険適用外の症状に特化した自費メニューを用意すると、患者が受けやすくなり、単価アップにつながります。オフィスワーカー向けの肩こり解消プランや、アスリート向けのスポーツリハビリプランなどが例に挙げられます。
2. サービスの多様化
・鍼灸やマッサージ、リハビリテーションなどの新しいサービスを提供することで、顧客の満足度アップを図ります。また、健康や身体のケアについてのセミナーを開くことで、地域の認知度を高めることができるかもしれません。
3. 常に患者目線のサービス提供
・患者のフォローアップ
患者目線のサービスを提供することで、他の接骨院との差別化が図れるかもしれません。たとえば、患者の話にしっかり耳を傾け、個別のニーズに対応する施術を提案することで、信頼関係を築きやすくなるでしょう。また、施術後にセルフケアのアドバイスを提供するなど、患者が自宅でのケアをしやすい環境を整えるなどの方法もあるでしょう。
4. 提携先の充実
・企業や学校との提携
地元の学校と提携し学生向けの特別割引を提供、企業との提携による健康サポートや従業員向けの特別プランを提供するなどサービスを提供することで、自院の認知度向上が期待できるかもしれません。
接骨院経営の厳しさに対応するためのサポートとリソース
1.ビジネスコンサルティング
・経営コンサルタントに相談し、経営戦略の見直しや業務の効率化を図ります。特に、マーケティングや人事管理に関する専門的なアドバイスが得られます。
2.セミナーや研修
・定期的に行われるセミナーや研修に参加し、最新の施術技術や経営ノウハウ、集客や顧客管理のスキルを学ぶことができます。
(参照;講習会のご案内・ご報告(公益社団法人全国柔整鍼灸協会) )
3.ITツールの導入
効率的な顧客管理システムの導入は、収益を最大化し効率的に業務を行ううえで極めて重要です。接骨院の経営者は施術に関する知識や経験が豊富である一方、経営に関する経験が不足していることが多く、顧客管理や経営分析に苦労することがあります。顧客管理システムを導入することで、患者のカルテ管理やリマインダーの送信を自動化し、エクセルや紙媒体を使用する場合と比較して、事務作業にかかる時間とコストを大幅に削減できます。
「日計票クラウド」は接骨院向けの顧客管理システムです。顧客情報を入力するだけで、自動で売上や離脱リスクを可視化し、LINEでのリマインドも可能です。クラウド型のため、どこからでもアクセスでき、操作も簡単な上、Excelやアプリのインストールも不要です。初期費用なしのプランもご用意しております。
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接骨院の経営がなぜ厳しいのかについてのまとめ
接骨院にとって健康保険は収益の一部を支える重要な要素ですが、最近では保険適用の厳格化により保険診療での収益が以前に比べ減少しています。これにより、施術内容に制限がかかり、安定した収入が得られない状態になっています。 接骨院経営が厳しい原因として、こうした要因が複雑に絡みあっていることが挙げられます。接骨院経営が厳しいなかでもメニューとサービス多様化や業界団体やITツールのサポートを受けることが経営成功の鍵となるでしょう。