「整骨院の自費施術、うちは高いのか安いのか…?」 そんな疑問を抱えたまま料金設定をしていませんか?近年では、整骨院でも保険施術に加えて「自費メニューを導入する動き」が広がっています。
その一方で、下記のように悩む経営者の方も少なくありません。
・「どのように料金を決めればいいのか分からない…」
・「他院と比べて自院の価格は適正なのか不安…」
この記事では、「全国の整骨院の自費施術の相場や地域別の傾向」「価格設定で失敗しないためのポイント」を分かりやすく解説します。「地域に合った価格設計がしたい」「自費導入を成功させたい」とお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください!
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目次
整骨院の自費施術、料金設定で失敗しないための3つの基本ポイント
料金設定を見直す前に、まずは基礎をおさえましょう
患者さんに選ばれやすく、なおかつ利益も確保できる料金を設定するには、以下の3つのポイントが非常に重要です。
- 分単価
- 施術説明の明確さ
- 初回価格
この3つは「何を・いくらで・どのように提供するのか」を伝えるうえでの“見せ方”がカギになります。単なる価格設定ではなく、「伝え方」と「見せ方」を工夫することで、患者さんの納得感と安心感を高め、選ばれる確率が格段に高まります。
① 地域の料金相場をリサーチしよう
〜競合と比較して「高い?安い?」の不安を解消~
整骨院の料金を設定するうえで、まず把握すべきなのが「地域の料金相場」です。どれだけ優れた施術でも、立地やターゲット層に合わない価格設定では患者さんから選ばれにくく、集客に苦戦してしまいます。地域の価格帯を把握することで、「うちの料金は高すぎるのか?安すぎるのか?」といった不安を解消でき、自信を持って価格提示できるようになります。
▶調査を進める中で、下記のような事例も見えてきます。
- 自院より高い価格でも、しっかり集客できている整骨院
- 価格を下げているにもかかわらず、集客に苦戦している整骨院
これらの事例から分かるように、価格は単なる目安にすぎません。重要なのは、地域相場と自院の施術価値とのバランスをどう取るかという視点です。
▶調査方法の例
近隣の整骨院を10院ほどピックアップし、以下の方法でリサーチしてみましょう。
- 各整骨院のホームページの料金表を確認する
- Googleマップのメニュー・口コミ欄で価格帯をチェックする
- EPARKやホットペッパービューティーなどポータルサイトの価格情報も参考にする
(参考: EPARK)
(参考: ホットペッパービューティー)
② 施術内容と時間を“見える化”して納得感をアップ
~「この施術でこの価格なら納得」と思ってもらう仕組みを~
同じ「30分3,000円」という料金表示でも、施術内容が曖昧なままでは、患者さんにとって不安が残ります。 「何をしてくれるの?」「本当にその金額に見合うの?」と疑問を持たれてしまうと、納得して来院・リピートしてもらうのは難しくなります。患者さんに価格への納得感を持ってもらうには、施術の詳細を“見える化”することが重要です。
▶たとえば、以下のような情報を明確にしましょう。
- 施術の流れ(どのような手順で進むのか)
- 使用する技術や機器(手技、矯正ベッド、EMSなど)
- 期待できる効果(痛みの軽減、姿勢改善など)
▶患者さんに伝わりやすい見せ方の工夫
- ホームページに「施術の流れ」や「ビフォーアフター写真」を掲載
- カウンセリング時に紙資料やタブレットを使って視覚的に説明
- 所要時間ごとに施術内容を具体的に記載する
- 例:「骨盤矯正+ストレッチ:40分 4,500円」など
「何をされるかわからない不安」を抱かせるのではなく、「この内容でこの価格なら納得できる」と思ってもらえる情報提供・見せ方が、リピート率の向上に直結します。
③初回価格・継続価格の“バランス”がリピートを左右する
~「お得さ」と「信頼感」の両立がカギ!~
整骨院の集客施策としてよく用いられるのが、「初回お試し価格」の導入です。初回の料金を大幅に下げることで、施術のハードルを下げ、「まずは試してみよう」と思ってもらいやすくなります。このように、「初回は安く、2回目以降で利益を確保する」といった価格戦略は、多くの整骨院で採用されています。
たとえば、以下のような料金設計が一般的です。
・ 初回:1,980円(通常価格 5,000円)
・2回目以降:5,000円
しかし、この戦略には注意すべき点もあります。初回価格と通常価格の差が大きすぎる場合、患者さんに「なぜそんなに安いのか?」という不信感を与えたり、2回目以降の通院につながりにくくなったりする可能性があります。そのため、価格設定だけでなく、「伝え方」や「見せ方」を工夫することが重要です。
▶バランスを取るための工夫例
- 初回は“体験・評価のため”という位置づけで、50〜60%オフ程度に抑える
- 2回目以降は、施術+アフターケア込みの価値ある内容を提示
- 継続を後押しする“回数券”や“定期プラン”を提案
- (例:「5回で2,000円お得」など)
価格には「ストーリー」が必要です。患者さんが「この価格設定は納得できる」「この整骨院は信頼できる」と思えるような誠実さ・透明性のある料金設計が、結果的にリピート率や長期的な売上アップにつながるでしょう。
全国平均の料金相場【初回・2回目以降の比較】
【初回】料金相場|全国平均は約4,388円(55.36分)
~分単価は約79.27円/分。カウンセリング込みの値段設定~
- 平均データ(初回)
- 料金の相場:4,388円
- 平均単価(施術時間):55.36分
- 分単価:79.27円/分
- 初回は「カウンセリング」「検査・説明」を含むため、施術時間が長めになりがちです。料金もそれに応じてやや高めに設定される傾向があります。
- ※全国の接骨院の初回料金相場の分布
- 本グラフは、当社が全国400院のWebサイトを独自に調査・集計したデータをもとに作成しています。
- 料金設定の相場感をつかむには、単に平均値だけでなく、「どの価格帯が多いのか」を分布で見ることが重要です。
集計結果まとめ|初回料金
- 最も多いのは「3,000〜3,999円」の価格帯!
- 全体の約25%がこの価格帯に集中
- その前後の「2,000〜2,999円」「4,000〜4,999円」も多く
- これら3つの価格帯で全体の約60%を占めています
- 初回料金のボリュームゾーンは「2,000〜4,999円」と言えるでしょう!
- 分単価に換算するとどうなる?
- 施術時間の平均が約55.4分であることを踏まえると、たとえば6,000円の施術料金は「1分あたり約108円」と換算できます。
- このように全国データをもとに計算すると、
- 施術1分あたりの単価(分単価)の相場は、おおよそ162.5円程度と見なせます。
【2回目以降】料金相場|全国平均は112.42円(53.13分)
~分単価は112.42円/分で「通いやすさ」が重要に~
- 平均データ(2回目以降)
- 料金の相場:5,973円
- 平均単価(施術時間):53.13分
- 分単価:112.42円/分
- 2回目以降は「通いやすい価格設定(112.42円/分前後)」が重要になってきます。 患者さんにとっても負担が少なく、継続を後押しする価格設計が大切でしょう。
集計結果まとめ|2回目以降
最も多いのは「4,000〜4,999円」の価格帯!
- 全体の約18%がこの価格帯に集中
- その前後の「3,000〜3,999円」「6,000〜6,999円」も多く
- これら3つの価格帯で全体の約49%を占めています
- 初回料金のボリュームゾーンは「○○円」と言えるでしょう!
分単価に換算するとどうなる?
- 施術時間の平均が約53.1分であることを踏まえると、
たとえば4,000円の施術料金は「1分あたり約75.3円」と換算できます。 - このように全国データをもとに計算すると、
施術1分あたりの単価(分単価)の相場は、おおよそ70〜130円程度と見なせます。
※分単価の算出方法は以下の通りです。
平均分単価 = 平均施術金額 ÷ 平均施術時間
- 分単価を出すメリット
- ① コスパの見える化ができる
- 「時間あたりいくらか」が分かるので、他院と比較しやすい。
- ② 価格設定の根拠になる
- 全国平均と比べて、高すぎないか・安すぎないかを確認できる。
- ③ 利益率や回転率の改善につながる
- 「1人に何分かけて、いくら売上があるか」が見えるので、
施術時間や価格の見直しに役立つ。
- 「1人に何分かけて、いくら売上があるか」が見えるので、
- ④ 患者さんへの説明に使える
- 「当院は○○円/分で、丁寧なのにお手頃です」といった安心感のある伝え方ができる。
- ① コスパの見える化ができる
コツ|初回と継続の料金を設定する方法
~「お試しから継続へと自然に導く価格戦略」がカギ~
▶初回は「信頼構築と体験の場」と位置づける
- カウンセリングや検査の時間をしっかり確保
- 「丁寧に見てくれる」という安心感が信頼につながります。
- 体験プランや初回キャンペーンを活用
- 気軽に来院できる環境を整えることで、『ちょっと試してみよう』という気持ちになりやすくなります。
- 注意点:安売りには要注意!
- 価格設定に明確な根拠がない場合、『どうしてこんなに安いのだろう?』と不安や不信感を抱かれる可能性もあります。
▶継続は「通いやすさ×納得感」で設計する
- 2回目以降は、リピートしやすい価格帯を意識
- 施術内容+アフターケアの価値をしっかり伝える
- 価格以上の満足感が次回来院の決め手になります。
- 回数券や継続プランを用意
- 継続を後押ししつつ、売上の安定化にも効果的でしょう。
▶ポイントは「自然な導線」を作ること
- 「初回お試し → 効果実感 → 継続したいと思える」
- このような流れを踏まえ、患者さんがストレスを感じることなく継続を判断できるような料金設計を心がけましょう。
地域別の自費施術の料金相場と特徴を比較!
整骨院の自費施術の料金は、都道府県ごとの物価水準や消費者の金銭感覚に左右されるため、地域ごとに大きな差があります。同じ施術内容であっても、適正とされる価格は地域によって異なるのが実情です。
なぜ地域で差が出るのか?
- 地域によって差が生じるのは、都道府県ごとに物価や可処分所得といった「消費者のお財布事情」が異なるためです。たとえ同じ施術内容でも、適正とされる価格はエリアによって変動します。
- そのため、料金設定を行う際には、自院が属する地域の『経済的な立ち位置』や『患者さんの層の金銭感覚』を的確に把握することが重要です。
本記事のリサーチ前提|国土交通省のデータをもとに3分類
本記事では、国土交通省が公表している『都道府県別の基礎支出ランキング』を参考に、全国を以下の3つのカテゴリに分類しています。
- 首都圏…東京都、大阪府
- 中庸…鳥取県、岐阜県、秋田県、茨城県
- 地方…宮崎県、沖縄県、大分県、佐賀県
この分類をもとに、次章では各エリアにおける料金相場・患者さんの層・価格戦略の特徴を詳しく解説していきます。まずは、自院がどの地域に属するかを把握することが、適正な価格設計の第一歩です。
(参考: 国土交通省|都道府県の基礎支出のランキング)
【地方】平均価格6,477円(初回・2回目以降の合算平均)|価格重視&リピート重視
~「信頼」と「通いやすさ」が鍵に~
- 初回平均価格
- 3,822円
- 初回平均価格
- 2回目以降の平均価格帯
- 5,310円
- 特徴
- リピート率重視
- 「価格の手頃さ」が選ばれる決め手になる傾向
- 店舗間競争は少なめだが、価格競争になりやすい
- 特徴
- まとめ
- 安さ=価値と捉える傾向が強く、高額な自費施術には慎重な反応が多い傾向です。
【中庸】平均価格7,956円(初回・2回目以降の合算平均)|バランス型の価格帯
~価格だけでなく「施術の満足度や安心感」が選ばれる要素に~
- 平均価格帯
- 4,915円
- 2回目以降の平均価格帯
- 6,083円
- 特徴
- 学生〜ビジネスマンまで、幅広い層が来院傾向
- 都市機能はあるが、生活コストは比較的低め
- 「価格と施術の質」のバランスを重視する患者さんの層が多い
- まとめ
- 中庸都市では、「安さ」だけでなく「納得できる施術体験」が選ばれるポイントになります。
- 価格は抑えつつも、施術の満足度や接客、安心感の提供がリピートにつながる傾向です。
※「中庸」とは?
- ここで言う「中庸(ちゅうよう)」とは、都市機能や物価のバランスが「ちょうど中間」に位置する地方都市を指します。
- 「中庸」とは、偏りすぎず、過不足のないちょうどよい状態を意味する言葉です。
- 国土交通省によると、基礎支出が「中位層」に入る都市としては、島根県、岐阜県、秋田県、茨城県、などが挙げられます。
(参考: 国土交通省|都道府県の基礎支出のランキング)
【首都圏】平均価格7,532円(初回・2回目以降の合算平均)|差別化&高付加価値で勝負
〜「価格」より「価値」重視。オーダーメイドや専門性で単価アップを狙う~
- 平均価格
- 4,408円
- 2回目以降の平均価格帯
- 6,248円
- 特徴
- 施術の「専門性」「独自性」「高付加価値」が重視される
- 忙しいビジネスマンや美容志向の女性が多く、価格が高くても需要あり
- 差別化戦略(オーダーメイド施術、最新機器導入など)がカギ
- 平均価格
- まとめ
- 差別化には、自費メニューの独自性やブランディングが重要。
- 例:最新機器・美容特化・予約制など
まとめ|整骨院の自費施術の料金設定は「地域性」と「分単価」のバランスがカギ!
整骨院の自費施術を導入・見直すうえで、料金設定は集客と売上に直結する重要なポイントです。この記事で紹介したように、自費施術の料金は以下の3つを軸に設計することが効果的です。
料金設計の3つのポイント
- 地域性に合った価格帯の把握
- 地域ごとの物価や患者さんの感覚に合わせた金額を設定
- 分単価でコスト感を調整
- 初回は約130円/分、継続は120円/分が全国平均の目安
- 信頼と納得感のある価格ストーリー
- 初回の安売りではなく「この内容なら納得」と思われる見せ方がカギ
自費メニュー導入の成功は「料金設計」で決まる
価格設定に正解はありませんが、地域性と施術価値をふまえた設計により、リピート率の向上と売上の安定化が見込めます。「自院の価格は高すぎる?安すぎる?」と悩んでいる方は、まずは近隣10院の相場調査と自院の分単価チェックから始めてみましょう。
この記事を読んだあとのアクションチェックリスト
☑近隣10院の料金を調べて平均を出す
☑自院の「分単価」を計算してみる
☑初回と継続で導線がつながる価格に見直す
☑自院の地域カテゴリを判定して価格戦略を練る
接骨院の経営管理にお困りの方へ
「日計票クラウド」は接骨院向けの顧客管理システムで、簡単に経営分析や患者さんの離脱防止が可能です。紙の日計票の内容を入力するだけで、自動で売上や離脱リスクを可視化や、LINEでのリマインドが可能です。クラウド型でどこからでもアクセスでき、シンプルな操作性に加え、Excelやアプリのインストールも不要です。初期費用なしでご利用いただけるプランもご用意しています。